KTS Titanium Neck Reinforcement (ネック補強材)

KTSではブリッジパーツの他、ネック内に仕込まれ、弦の張力や気温や湿度等の 外部環境による変形を矯正するトラスロッドや補強材を製作しています。 写真は、Ibanez,Atelier Z, MTD (Michael Tobias Design) 他、数多くの ブランドに採用されているネック補強材、Titanium Neck Reinforcement 。メーカー、ビルダー様向けの製品で一般のユーザー様にはあまり知られていませんが、 弊社製品はこのように、”KTS Inside”として目に見えない部分でお手伝いさせていただいております。

Titanium Neck Reinforcement Bar
Titanium Neck Reinforcement Bar

Titanium Neck Reinforcement Rods(ネック補強材)の一般向け販売を開始

KTSでは、Ibanez, MTD(Michael Tobias design), Atelier Z等、内外ギターメーカー向けにチタニウム製ネック補強材、Titanium Neck Reinforcement Rodsを供給させていただいておりますが、このほど、個人ギター製作者、ブティッビルダー様等向けに少量からの販売を開始いたしました。既に数年前より、米StewMac社より一般向けに供給されておりますが、近年国内のお客様より直接購入のご要望を多くいただくようになり、今回の販売開始に至った次第です。当サイトCustom Shopページにてご購入いただけます。また、20本以上のまとまった数量でのご使用を検討中のメーカー様等におかれましては、別途お見積もりいたします。下記問い合わせボタンよりお問い合わせください。

“チタンでこのくらいの棒が出来んかねぇ?“

ネック作りでは右に出る者はいないという信州の工房から問い合わせがあったのは、ブリッジサドルが商品化されて間もない頃でした。トラスロッドの両脇に仕込む補強材にするとの事。それまで、鉄、カーボングラファイト、セラミクス等がその素材として使用されていました。チューンオーマチックサドルの製法でも説明しましたが、金属を棒状に加工するのはKTSの得意とするところです。巾が6.0mm 、厚みが3.0mmの断面を持つ試作品のバーは実際にネックに組み込まれテストが繰り返された後、国産某高級ブランドのベースに採用されることになりました。そしてその後、世界中で広く認知されているIbanez Guitars & Bassesの多くの機種に採用されることになります。

Ibanez ギターのヘッドストック

(写真: KTS Titanium Reinforcement がインストールされている事を表すステッカーが貼付された、Ibanez ギターのヘッドストック)

“KTS社のチタン補強材は一つの解でした。”

Ibanez 製品の企画、開発に関わられている、”Ibanez Product Specialist” と呼ばれる方から採用した理由、そのメリット等について意見を伺いました。

”弦楽器のネックは主に木材で構成されており、天然素材であることからそれぞ れが固有の特性をもっています。Ibanezは多くの人々に製品を届ける量産メーカーとして、製品の均一化や安定した品質の維持を課題として長年に渡り工夫を重ねておりますが、KTS社のチタン補強材は一つの解でした。 チタン素材は軽量、且つネックの補強素材として適度な剛性としなりを持ち、雑味の無い音響特性を兼ね備えていることから弦楽器との相性に優れています。 KTS社の高品質なチタン素材と優れた加工技術で支えられたネック補強材を使用したIbanez製品は10年以上の実績を持ち、多くのアーティストやお客様に選ばれています。”

KTS Titanium Neck Support Rod in Ibanez S5221BWE

(KTS ネック補強材が使用された、Ibanez Prestige S シリーズ)

Ibanez
www.ibanez.com

 

そもそもネック内でトラスロッドの両脇に仕込まれる補強材(レインフォースメント)は、音質向上を目指して作られたものではなく、弦の張力や環境の変化によるネックの変形を抑える、あるいはトラスロッド調整でのネックの動き方を安定させるという目的で使われてきたものです。我々も開発当初は、音響的な向上については期待してはおりませんでした。しかしながらその後、いくつかの優れた音響的特質がビルダー達によって実証されています。

 

“The notes seem to jump off the board!”

2008年、KTS のネックレインフォースメントの採用を始めたときの、MTD(Michael Tobias Design)のルシアー、Michael Tobiasからのインプレッションコメントです。まだ業界の新参者であったKTSにとって、このレジェンドからの評価は胸おどるものでした。以来10年以上にわたり、彼の作品の一部に採用され続けています。

“The most obvious difference is the way it feel in my hand. The titanium makes it seem more solid but much more alive. Sonically it is more even, and the response is quicker. The note seem to jump off the board. It’s a very interesting phenomenon.” -Michael Tobias

 

Graphite or Titanium?

さてそれでは既存の最も一般的なカーボンファイバー(graphite)製補強材との違いはどうなのでしょうか? これについては、オーストラリアのハイエンドギターブランド、Vance Custom Guitarsのルシアー、Rusty Vance氏が下記にて説明しています。

Vance Custom Guitars (Australia) introduces KTS Titanium Neck Rods
https://www.k-t-s.com/topics/en/vance-custom-guitars

Vance氏は長年採用しているカーボンロッドの利点をあげながらも、KTSのチタニウムネックレインフォースメントはカーボンロッドに比べしなやかで安定した弾性(元に戻る力)があり、リッチなトーンとハーモニクスを生み出すといった点を指摘しています。ちなみに氏は、ギターのタイプによってカーボンとチタンを使い分けています。

ところで補強材と聞くと、がっちり固めて変形を防ぐというイメージですよね。チタンのようなしなやかな素材では補強材に向いていないのではと思われる方も多いのではないかと思います。でもどんな硬い補強材であっても、木材で出来ているネックの反りを100%防ぐということは不可能であり、(もちろん何十本もの補強材で固めれば可能かも知れませんが...)トラスロッドによる調整がどうしても必要になります。

KTSのチタニウムネックレインフォースメントはネックをがちがちに固定するというより、その直線であり続けようとする弾性により、ネックを常に変形させようとする弦の張力、あるいは温度、湿度等の外部環境の変化に対抗するという感じです。またネックには木目等により強度にばらつきがあります。必ずしもネックの中央を頂点として変形するわけではありません。補強材を入れるという事は、この強度が均一でないネックをバランス良く反らせる効果もあるのです。

KTS は冷間圧延という加工技術により、この補強材を製作しています。分かりやすく説明しますと、チタニウムワイヤーロッドを押してつぶして延ばして断面が長方形のフラットバーを作ります。このように成形された素材は加工硬化によりネック補強材としての程よい硬さになり最適な弾性、すなわち素材が応力を受け変形した時に元に戻ろうとする性質を持つことになります。我々はこの目には見えない部分で重要な役割をはたす金属の棒を、手間暇かけ心を込めて製作しています。そして開発以来、数万本に及ぶメーカーへの出荷の中でのゼロクレーム実績を基に、この KTS Ti- Reinforcement を、すべてのギターメーカー、ビルダーの方々にお勧めいたします。

 

*下記ページにて少量より購入することができます。

KTS Custom Shop
KTS Titanium Neck Reinforcement Bar


Stewart Macdonald
Titanium Neck Reinforcement Rod

 

また、採用を検討されておられる製作者様におかれましては、メールにてお気軽にお問い合わせください。

info@k-t-s.com