KTS のチタニウムって、グレードいくつなの?

...というような質問を最近よくいただきます。

確かに一般にチタニウムと呼ばれている金属は、その含有量および構成する他の元素の割合によって、グレードがあり、元素”Ti”の含有量が大きい方から、グレード1,2,3...とランクづけられています。

ランク付けと言っても、別にグレード1が一番優れているという意味ではありません。それぞれの機械的性質が適した用途に使われています。その中でグレード1から4までが純チタンという規格に分類されています。純チタンの規格の中ではグレードの数値が大きくなるにつれ硬くなっていきます。

ブリッジサドルはグレード2を採用

弦の振動を直接受けサウンドに大きな影響をあたえるブリッジサドルには、比較的柔らかい純チタンのグレード2が使われています。

以前、「KTS TOMサドルの作り方」の記事にも書きましたように我々の目指すところは “明るく暖かみのあるトーン”でありまして、開発当初の試行錯誤の後、チタン材料の一番柔らかい、組織的にも安定している状態がベストであるという結論に達しました。

だったら何故グレード1じゃないのよ?と突っ込まれそうですが、硬さにおいてグレード2との違いは非常に微妙であり、マーケットでの流通量および切削加工での多少の優位性を考慮し、グレード2を使用している次第であります。 

Ti-Blockはグレード3.5 ???

これに対しTi-Block string lock insert。Floyd Rose® スタイルブリッジのサドル内で弦を固定するちいさなブロックですが、これはあまり柔らかくてはいけません。スクリューの締め込みによって変形してしまいます。

弊社が採用している素材は、某メーカーが他の用途に開発した特殊なチタニウムで純チタンのグレード3とグレード4の中間にあたりグレード1や2に比べかなり硬い材料です。一般市場には出回っておりませんが、弊社の持つ特別なルートにて入手しております。

硬さを測る単位にHv(ビッカスハードネス)という数値があります。これは数値が大きいほど硬くなるのですが弊社のチタンサドルはHv160~170、これは一般的なフレットワイヤーと同程度です。これに対しTi-Blockは、Hv280~290となっています。ちなみにスチール製のFloyd Rose®オリジナルのブロックはHv400以上あります。

なんだ、それじゃオリジナルに比べて全然柔らかいじゃん..と、また突っ込まれそうですが、オリジナルが素材の硬さでがっちり押さえつけるのに対し、Ti-Blockは程よい硬さを持つ丈夫で割れにくい素材を使用することで弦をやさしく、しっかりホールドすることを目指した製品なのです。

※注 グレード(Grade)xx というのは、海外規格のASTM規格での分類です。Grade 3.5 という規格はございません。

Tune-O-Matic style Saddles 

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