「NAMMショウ2005のデモ演奏に間に合うように装着したい!」そんな私のわがままが KTS のバックアップにより実現。 6弦ベース用のチタンブリッジコマを製作していただき、そして搭載を可能にした。感謝!!
・・・2003年9月にフェンダージャズベース74年にチタンブリッジ(スパイラルタイプ)をつけて以来、ミドルの締まりとサステインが気に入り、 その後半年間のソロツアーは、メインベースの6弦フレットレスベースを休ませてジャズベース一本でまわった。2004年4月には9枚目のソロアルバムをジャズベースのみでリリースしてしまったほど。2004年7月にはエンドースしているムーンギターズからも、KTSチタンブリッジ搭載モデルを製作していただいた。しかしながら、私のメインベースは6弦フレットレスベースということで、かねてからメインベースでもチタンブリッジを試してみたかった。弦間は16,5mmピッチ、それに加えて6弦ベースということで、KTSの現行品をアレンジして使うことは難しい。
というわけで、KTS羽場氏に相談した結果、現在ついているブリッジのコマのみをチタンで製作していただくことになった。クローム色のチタンパーツがゴールドブリッジの中に収まり、格闘家のマウスピースを思わせる不思議なカッコよさをかもし出す(笑)。羽場氏製作の完成品を、ムーン時代から大変お世話になっている、ワークショップフェローの野澤氏にとりつけていただき、さっそく試奏。・・・ビックリするほどウォーム。そして、イメージ以上のサステイン。
チタンパーツを試したプレイヤーは、 ”音の立ち上がり””チタンのイメージとは全く逆の音のマイルドさ””音の伸びの素晴らしさ” についてコメントするケースが多いと思うが、6弦フレットレスにチタンのコマを取り付けたことによって、ミッドミッドハイ帯域の音の伸びをジャズベースのブリッジ交換以上に 露骨に実感させる結果となった。単音はもちろんのこと、コードプレイになると、ほとんど別の楽器のようだ。
極端な話、以前のブリッジコマが「ビーン」「ジャ(カ)リーン」だとすると、チタンブリッジコマは「ブ(プ)ーーン~」「グワラーーン~」 といった感じで(抽象的ですいません(笑))、フリークエンシー、周波数帯域はもう少し落ち着いた部分が強調されてくる。
「アコースティックのトリオやデュオで使うといいんじゃない?」フェローの野澤氏はおっしゃった。ウォームな音がアンサンブルに融けこみやすい印象。・・・ということは、ソロで弾きたいときにも高域がとてもやさしく鳴ってくれるということ。これは別に低音域の方がモクモクして埋もれるというわけではなく、低音域は低音域で音は立って出てくる。単音、コード、スラッピング、タッピング、それぞれチタンの個性を発揮して鳴ってくる。この部分、もちろん全てのプレイヤーにとって最高というつもりはない。あくまで好みの問題。 以前の「ビーン」「ジャ(カ)リーン」が好きな方、それから、重低音をガチガチの質感で出したい方もいるだろう。 そして、エレキベースの場合、単体でどうしようもない音でも、周囲のギターリフやドラムとまじり合うことで、 薄っぺらい音が丸みをおびてきたり、ガチガチで伸びの悪い音の方がバンドアンサンブルでよく混じるケースも多々ある。美しいミドルは他のパートにまかせるケースだってたくさんあるのだ。「今までの素材のサステインくらいでちょうど良かった。」というプレイヤーだっているかもしれない。しかし、今の私のプレイにはとてもありがたいチタンパーツ。 加えて、現在ベースシンセサイザーを使用しているので、より忠実かつしっかりした弦振動とサステインが要求される。チタンパーツはベースシンセサイザーにも活かされている。
というわけで、2003年9月以来、私の楽器の一部としてツアーを共にしているチタンパーツ。年内は終わりのないロードが続き、年末には北欧、そしてさらに北へ向かう。チタンも過酷で大変とは思うが(笑)、まだまだ長い付き合いになりそうである。
世界を駆け巡り、欧米で“BASS NINJA”の異名をとるエレクトリックベーシストであり、作曲家。 全10作のアルバムを発売。年間250本以上の世界公演を行う。
10枚目のアルバム、”FOLKS(フォークス)(Q.I.BASE014D)”が2005年8月25日にリリースされました。ボトムベースパートに使用のジャズベースと、リードベースパート使用の6弦フレットレス(ベースシンセ付)ベースに、チタンパーツが装着されています。
写真(photo by Akira Iou): ブリッジ中央に収まる、ダークなクロームのオハグロ部分(笑)がチタンブリッジコマ。